さて、今回は『賃貸名人 ファームバンキングツール』(商品名が長いので以下『賃貸名人FB』と記載)の導入メリットについて、セールス目線ではなく現場でのサービスマン目線で投稿いたします。
第1回として『賃貸名人FB』を構成する4つのサービスのうちの一つ、「振込入金サービス」について事例を交えて紹介いたします。折角ブログをご覧になっていただくのですから、表面的に機能を紹介するのではなく、業務実態をご理解いただくためにそちらをちょっと掘り下げてみます。
業務実態部分や口座の運用については『賃貸名人』に限らず、他社の賃貸管理システムでも共通した部分が多く、弊社ユーザー様以外の管理会社様もご参考になさってくださると幸いです。
《目次》
(1)振込入金サービスとは
(2)振込入金サービスの特徴
(3)振込入金サービスのメリット <まとめ>
(1)振込入金サービスとは
『賃貸名人FB』のサービスは入居者様の支払方法によって機能を選択的にお求めいただくことができます。今回紹介する「振込入金サービス」は、各入居者様からネットバンキングや銀行窓口で家賃を振り込んで入金してくる場合にご利用いただく機能です。保証会社や収納代行業者からの振り込みについてはまた別のサービスで取り扱います。
『賃貸名人FB』はこのような振込のデータを金融機関からダウンロードし、賃貸名人の入金レコードに入金結果を反映します。
セールストーク的には“通帳を見ながら入金消込をする作業”を“明細ファイルを利用した入金消込の自動化”に変えると言うことができます。
でもこれではどさくさ紛れにネットバンキングのサービスを『賃貸名人FB』の効用にしてしまっています。最近は賃貸管理システムとの連携有無に関わらず、ネットバンキングをご導入済みの企業様がほとんどです。窓口で記帳なさっているお客様は大分減ってきましたから、この辺りを盛らずに正確な漫画にすると↓の通りでしょうか。
(2)振込入金サービスの特徴
『賃貸名人FB』のデータ連携の方法は前項において漫画で示したように“ファイル連携”方式です。他社(とりわけ会計ソフト)のサービスのように銀行口座をアプリケーションから直接コントロールするような“API連携”方式ではありません。他社の賃貸管理システムではこの“API連携”方式を採用していることもあります。
“API連携”方式の方がシステム間の密接度が高く、まさに自動と言える程のよりシームレスな連携ができますが、その分アプリケーション側では通信のセキュリティへの配慮や金融機関や中間業者との連携が要り、結果的にサービスが割高化します。
“ファイル連携”方式は昔ながらの定型ファイルでのやりとりなので、先進性は感じられないかも知れませんが安価かつ(よく言えば)安定したサービスなので現状では妥当な方式だと思います。
もちろん将来的に信金や農協に至るまで多くの金融機関が“API連携”を提供するようになり、かつ世間一般でも広く利用されようになれば、“API連携”方式が主流になると思います。
以上、本項では一応言い訳をしておきます。
(3)振込入金サービスのメリット
『賃貸名人FB』の振込入金サービスをご導入いただくメリットは大きく分けて2つあります。
A)自動入力による作業時間の低減〔省力化〕
B)自動入力による人的ミスの低減〔正確性〕
分かり易いのは〔省力化〕ですが、実のところ全てのユーザー様にメリットを感じていただけるのは〔正確性〕だったりします。そして、今回の投稿の趣旨はここにあります。
〔省力化〕について
まず『賃貸名人FB』のご導入をご検討いただくラインとして「毎月100件程度の振込件数があること」と定義してみます。弊社社員でも担当によってこのラインの発信に差があるとは思いますが、キリが良いところで100件は妥当でしょう。
ではこの100件を実態に沿って考えてみます。
振込入金は入居者からの振り込みなので、振込日が一定でないことがほとんどです。法人契約者様が多ければある程度収束すると思いますが、個人の場合は滞納まで考えると大分分散します。次のグラフは100件の振り込みを月末をピークにして適当に分散させたものです。土日が絡むと、特に月末が土日だったりすると更に分散しそうです。
このように分散した振込を“毎日”ダウンロードして『賃貸名人FB』に取り込むようだと、振込が少ない日は1回あたりの取りこみ件数が0件や1~2件だったりします。そうすると、そのように入金件数が少ない日に関しては手入力の方が寧ろ手間が少ないということまであります。しかしながら、この日は手入力・この日は自動消込と運用が揺らげばそれがミスの元になります。
この場合はある程度の日数分をまとめてダウンロードすると有効です。例えば、20日~月末までの分をまとめてダウンロードする、翌月初~家主様送金日までは滞納の追跡があるので毎日ダウンロードする、等です。
しかし複数の口座をご運用なさっている場合は更に厄介で、ダウンロードする明細に含まれる振込の件数が口座数だけ分散するので〔省力化〕のメリットは大分低下します。実態としても、昔から賃貸管理をなさっているお客様の中には“アパートやマンション毎に口座を分けている”という方がいらっしゃいます。
このような場合は一般にNTTDATA社のANSERシステムを間に挟んで効率化を図ったりします。でもこれは毎月相当な件数の入金が無いとコストに合いません。
通帳管理がメインだった頃の時代は口座を分けるメリットがありましたが、ネットバンキング全盛の現在においては口座を集約することの方がメリットが目立ちます。『賃貸名人FB』(に限らず賃貸管理システム)の運用に寄せるのであれば徐々にでも口座を集約なさることをお勧めいたします。
例外として、一部の金融機関においては同行内の複数口座の明細をまとめてダウンロードするサービスを提供しております。これならば口座が分散していても〔省力化〕の効果を損ないません。意外とメガバンクでもこれができなかったり、上位サービスの契約が要ったりします。一括DLの可否についてはご契約の金融機関にお尋ねください。
以上のように〔省力化〕を図るためには条件があります。
●毎月の振り込み件数が100件を超えること。多ければ多いほど『賃貸名人FB』の振込入金サービスは効果的です。
●金融機関や口座が集約されていること。またはご利用の金融機関で複数口座分の明細一括ダウンロードができること。
〔正確性〕について
振込入金サービスは、実際の振込入金額と賃貸名人の入金レコードを照合して入金消込処理を行います。このことで、賃貸名人の登録データと現実のお金の流れが実際に突合されます。
この“現実と繋がる”ということは思いの他有効で、登録データまたは入居者様のご認識のどちらかに間違いがあってもこれを検出することができます。抽象的な表現で恐縮ですが、登録データのフィクション感が一気に解消されるのです。
例えば、Aさんからの毎月の振り込み金額が\80,000であった。<現実>
契約書を見ながら登録した賃貸名人のAさん家賃は\85,000であった。<賃貸名人>
当然に\5,000の差額は照合時に金額不一致エラーの原因になります。すると、現実が間違っているのか賃貸名人が間違っているのかユーザー様のチェックを受けます。もちろん賃貸名人のデータが誤っているのであればここで正せば、家主様への送金レポートに至るまで正確な金額で運用することができます。
そして逆に<現実>が間違いであったケースも存在します。
入居者様の悪意の有無は分かりませんが、差額の\5,000は一昨年から追加した駐車場代だったというケースが実際にありました。(O県のお客様・ただし金額の\5,000は例示用のダミーです。)
つまり、『賃貸名人FB』をご導入なさったことでこれまでなぜか検出できなかった入居者の不足入金を1年半越しに検出できたということです。すぐにお客様社内が騒然となり、家主様や入居者にどうアクションをとって挽回するかを口々に話し合っておられました。このときは『賃貸名人』どころではなくなったのですが、それでも『賃貸名人FB』がこれを検出した訳で、サービスマンとしてはご導入してくださって良かったと感じた出来事でした。
不足入金の理由まで書いてしまったので、もし該当のお客様がこの投稿をご覧になったら自社のことだとご認識になってしまうと思います。何しろOから始まる県は3つしかありませんし、私(Tanaka)はこのなかの一つの県しか担当しておりません。大分ボカシて記したので例に挙げたことをお許しください。
実のところこのような例は他社でもありました。とりわけ回収漏れは少額(口振手数料等)のことが多いようですが、コンピュータでの照合においては\1の差であっても検出しますから、これはコンピュータの得意分野と言えます。
『賃貸名人 ファームバンキングツール』の振込入金サービスを総括して、「イレギュラーではなくレギュラーの入金をパソコンで一括処理し、残ったイレギュラーだけに向き合っていただけます。楽になります。」と、セールス的には〔省力化〕をメインにお伝えすることが多いサービスですが、実はこの“レギュラーの入金”が本当に正しいということを毎月チェックし続ける、つまり〔正確性〕の為でもあるツールなのです。
Posted By Tanaka(tanaka@dangonet.co.jp)