賃貸管理システム『賃貸名人』の解約(退会)についてリアルに回答します。
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  • 2022/12/19
    賃貸管理システム『賃貸名人』の解約(退会)についてリアルに回答します。

    『賃貸名人』をご購入くださったお客様が、他社賃貸管理システムに移行するために『賃貸名人』の解約をご希望なさることがあります。

    この事自体は弊社にとって残念なことです。ここは公式ブログなので“残念”という姿勢を示しつつ、実のところ今回投稿したいのはもっと契約およびシステム的な事です。


    今回は『賃貸名人』を例に解説しますが、これを『リフォーム名人』に読み替えても結構です。他社のローカル版賃貸管理システムについも似たようなものだとは思いますがここでは触れません。


    まず『賃貸名人』はローカル(オンプレミス)のソフトウェアなので次のような形態で販売しております。
     

    商品・サービス 販売形態
    『賃貸名人』本体
    (ソフトウェアライセンス)
    買い切り(初回費用のみ)

    メンテナンスサポートサービス
    (保守サービス)

    サブスクリプション(月額料金)


    結論から申しますと、『賃貸名人』本体は買い切りですから「解約」という概念がありません「賃貸名人を解約する」というのは「数年前に購入したマイカーを“解約”する」というのと同じくらいおかしな言い回しです。


    「賃貸名人からクラウド版システムに“移行”する」というのも同様に適切ではありません。「購入したマイカーをサブスクのカーリースに“移行”する」と言われたら、メーカーは「マイカーの下取りはできませんから、その事は忘れてサブスクを別途契約してください。」という旨の回答をするはずです。


    そして解約可能なのはメンテナンスサポートサービス(※以下「メンテ契約」と記載)の部分です。先ほどと同様に自動車に例えれば、購入したマイカーは解約できなくても自動車保険は解約できるということです。メンテ契約は『賃貸名人』の利用料金ではありません。『賃貸名人』を安心してご利用いただくためのいくつかの周辺サービスが複合したものです。

    もちろんメンテ契約を解約しても『賃貸名人』が使用できなくなる訳ではありません。つまり他社システムに移行しても、購入なさった『賃貸名人』は手元に残り続けます。『賃貸名人』のライセンス(使用権)を購入なさっているので、メンテ契約を解約した後もライセンスの範囲内で使用し続けることが可能という訳です。


    ではメンテ契約部分を解約するとどうなるのでしょうか。メンテ契約には次のサービスが含まれます。
     

    ①コールセンターへのお問い合わせ 使い方や障害解決について弊社コールセンターに問合せを行うことができる。
    ②バージョンアップ版の提供

    ソフトウェアのバージョンアップ版の提供を受けることができる。
    (A)ソフトウェアへの新機能の実装
    (B)新OS(Windows)への対応
    (C)法改正への追随
    (D)定義ファイル更新
      ※沿線・住所・金融機関等
    (E)不具合修正


    とりわけ①と②の(B)~(D)が重要で、メンテ契約を解約すると「“実質的”に賃貸名人が使用できなくなる」と表現する弊社担当もおります。でもこれは飽くまでも営業的なレトリックです。“実質”などと短絡的に考えず、これまでの経緯から将来を想定することが可能です。(ただし将来の事なのであくまでも想定ではあります。)

     

    ある日突然エラーが出て『賃貸名人』が動作しなくなったり、パソコンを変更する時インストールが自力でできない場合は、『賃貸名人』を使うことができなくなる?

    メンテ契約を利用なさっていないユーザー様については、インストールマニュアルやFAQのトラブルシューティングで自己解決していただく必要があります。

    逆にメンテ契約をご利用のユーザー様であっても、トラブル発生時にいちいちコールセンターに聞かないと自己解決できないようなソフトでは寧ろ不便ですから、弊社ではユーザー様がトラブルを自己解決できるようFAQで情報を発信し、またパッチファイル等もダウンロード配布しております。つまりコールセンターを利用しなければトラブル対応できないという事態がなるべく起こらないように努めております。

    それでも、その情報に辿り着けなかったり、レアな障害に当たって解決のとば口が見つけられないユーザー様は自己解決に至らないかも知れません。

     

    将来 Windows 12 がリリースされて、その数年後には Windows 11 のサポートが切れるだろうからそのタイミングで『賃貸名人』が使えなくなる?
    そうかも知れません。ただOSには後方互換性があるので案外あっさり動くかも知れません。

    別の切り口として、Windows 11の仮想マシンをネットワーク的に独立した状態(サンドボックス)で維持することは可能ですから、もし Windows 12 で現バージョンの『賃貸名人』が動作しなかったとしても、Windows 11 を安全に使い続ける方法が無い訳ではありません。

     

    将来の法改正に対応しなければ『賃貸名人』が違法になる?
    その通りですがソフト全体が違法化する訳ではありません。これまでの法改正は全て「契約書・重説」「請求書(例:インボイス制度)」のような対外的な出力物が対象でした。これらの帳票を遵法的に使い続けるためにはメンテのご契約が必要です。反対にデータ登録や検索、入金管理や更新お知らせ等の根本的な機能は社内業務なので法改正は多分影響しません。

     

    市町村合併や銀行統廃合が進んだとして、古い『賃貸名人』では新しい市町村や銀行を登録できない?

    登録できないことはありません。沿線/駅・市町村・金融機関等の最新の定義ファイルが利用できないので、選択リストに新しいそれらが表示されない状態になります。ただし、ご面倒ではありますが沿線/駅・郵便番号/住所・金融機関はどれも直接入力が可能です。定義ファイル(選択リスト)の便利な点はこの直接入力の手間を削減すること、打ち間違えなく正確なデータが投入されることにあります。

    一点、金融機関が統廃合したり裏側のシステム会社が変わったりすると、金融機関からダウンロードする入金明細のレイアウトが変わることが稀にあります。ファームバンキングツールのメンテ契約を切ってしまっていたらこれに対応することができません。もっとも都市銀なら大抵は大丈夫でしょう。

     

    仲介名人 や SUUMO の仕様が変わった時、古いバージョンの『賃貸名人』ではその媒体に連動できなくなる?

    その可能性はあります。ただしこれまでの例から判断すると、連動が完全にストップするのではなく、連動先媒体に実装された新しい機能やデータ項目に対して『賃貸名人』からデータ連動することができない、後で連動先媒体にログインしてそれらのデータを手入力する必要がある、という状態になります。

    そして、仲介名人・SUUMO・HOME'S・他のポータル系連動媒体については現在のメンテ契約内においても既にその状態になっています。これは各ポータルサイトがコンシューマ向けに日進月歩の改善を継続しており、弊社ではその改善のペースに追随することが不可能なためです。

    もちろん連動が停止するような根本的なポータル側の仕様変更があれば多分それには対応するとは思いますが、確実に対応できるかは未定です。実はポータル追随についてはメンテ契約の範囲から既に除外してしまいました。メンテ契約書にもポータル追随については全く記載されておりません。

     

    以上『賃貸名人』の販売形態と解約可能なメンテ契約について解説いたしました。


    ところで、ソフトウェアの「解約」というのは一般にクラウド型のサービスの使用を止めるときの手続きを言います。クラウド型のサービスでは「解約」を行うとサブスク(月額料金)が停止し、同時にソフトウェアを使用することができなくなります。このあたりはローカル版とクラウド版の大きな違いです。


    ローカル版(オンプレミス版)は自動車に例えれば「マイカー」であり、クラウド版は「カーシェア」のようなサービスです。


    こう例えればどちらに解約があるかは一目瞭然でしょう。



    Posted By Tanaka(tanaka@dangonet.co.jp