賃貸管理ソフトの「シェア」について
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  • 2023/01/24
    賃貸管理ソフトの「シェア」について

    今から5年前に開発ブログで賃貸管理ソフトのシェアについて投稿しました。

    〔開発ブログ〕賃貸管理ソフトのシェア比較
    ※目下リンクが切れております。
    ↑の記事の概要は、賃貸管理ソフトはニッチな業界で販社も通さない直販が多いし、どのメーカーも販売実績を正確には公開せず、セールス向けに数字を盛っているからシェアの算出なんて不可能ですよ、というものでした。


    これはこの分野における「シェア」という表現を茶化した記事であり、そして5年経った現在においても状況は概ね変わっておりません。「賃貸管理ソフト」というワードで検索を試みると、相変わらずGoogleから検索ワード候補として「賃貸管理システム シェア」が上位にお勧めされます。きっとこのワードで検索する人が多いからでしょう。(後、特定の企業である"アットホーム"が検索ワードとしてとても強いことがわかります。)

     

    そしてこの「賃貸管理ソフト シェア」で検索を行うと、たくさんの「有償広告」と「ステマ」がヒットします。2023年1月24日時点で、Googleの検索結果1ページ目にヒットするのは、上で紹介した私のブログ投稿以外は全て広告という状態です。

    これら広告と肩を並べて私の茶化し記事が上位にヒットするようになった事は、怪しいビジネスマン集団にふざけた格好で紛れ込んでいるようで愉快だと自負します。
     

     

    一方状況が変わった点もあります。
    「賃貸管理ソフト」というワードでGoogle検索を試みたとき、「シェア」という検索候補が表示されなくなりました。そして以前には無かった「買い切り」というキーワードが表示されるようになっています。これはシステム・ソフトウェアがどんどんサブスク化していく現在において、サブスクという支払方法に忌避感を持つ人が一定数いるということの現れでしょう。同時に「賃貸管理システム」よりも「賃貸管理ソフト」の方が買い切り型が多い、つまり古くレガシーな印象を与えるのだと思います。


    さて少し脱線しますが、この「賃貸管理ソフト 買い切り」をクリックしてみると・・・
    これは酷い。買い切りのソフトではなくサブスクの賃貸管理システムが上位にヒットします。世に言う「SEO」(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、検索する“利用者にとっての最適化”ではなく、検索される“事業者にとっての最適化”になってしまっているようです。
     


     

    ところで、「シェア」という言葉は間違いのない方向とセットで用いれば嘘になりません。
     

    例:最近の賃貸管理ソフトにおいてはクラウド型の商品がシェアを伸ばしている。


    根拠となる数字が示せないとしてもローカル(オンプレミス)型よりも後発のクラウド型がシェアを伸ばしているのは当然であり、言うなれば「固定電話」よりも「携帯電話」がシェアを伸ばしているというようなものです。

     


     

    クラウド型の賃貸管理ソフトが増えてきた今日、ローカルとクラウドでサービス形態が異なることから、各サービスのシェアを比較することがより困難になりました。仮に自社でクラウド版とローカル版の両方を商品展開している会社であっても、その自社商品どうしですら比較することが難しいのです。
     

      クラウド型 ローカル型
    ソフトウェア本体 サブスク(月額) 買い切り
    サポート サブスクに含む

    サブスク(月額)
    ※任意加入

     

    ローカル型の販売実績はソフトウェアパッケージの通算出荷本数でカウントすることが普通です。このときサポート契約の加入有無は考慮しません。


    一方クラウド型はアクティブなアカウント数をカウントします。過去に発行した解約済みのアカウントは考慮しないことが普通です。


    以前の投稿でクラウド型を「カーシェアやレンタカー」、ローカル型を「マイカー+自動車保険(任意保険)」に例えました。レンタカーの貸出し実績とマイカーの販売実績は比較できないということです。
     


     

    ところで、ローカル型の賃貸管理ソフトはほぼ全てが買い切りですが、マイカーローンのように分割払いで購入することが可能な商品もあります。そうすると支払は月賦になりますから、クラウド型のサブスク(月額利用料)とコスト面で比較されたりします。実際には分割払いの月賦と毎月の利用料では解約時の扱いが異なりますのでこの比較は大分強引です。


    最後に、ローカル型のソフトは「買い切り」と言っても、ライセンス使用許諾がありソフトを完全にユーザーの自由にできる訳ではありません。ソフトをコピーして自社商品として再販売したり、ソフトを改造したり、犯罪に利用したりすることは大体禁止されています。詳しくは各ソフトの使用許諾を確認してください。ただ、このあたりは社会的に合意ができていることなので本投稿でこの点をクローズアップする必要はないと思います。



     

    Posted By Tanaka(tanaka@dangonet.co.jp