賃貸管理システムをテレワークで使う5つの方法
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  • 2022/06/17
    賃貸管理システムをテレワークで使う5つの方法

    コロナパニックは収まってきましたが、引き続きテレワークを実施する企業が多数存在し、弊社でも引き続きお問い合わせをいただいております。これはもはや感染防止というよりもテレワークの利便性が認められてきたということでしょう。

    そこで本投稿では賃貸管理システムをテレワークで使う方法として、ローカルSWである賃貸名人を例に5つの方法を紹介いたします。

     

    <目次>


    ▼ 弊社でサーバ管理を行うプラン

    プランA  『賃貸名人 在宅ワークプラン』


    ▼ お客様自身(※)でサーバ管理を行うプラン
     ※お客様が弊社以外の外部に管理を移管する場合を含みます。

    プランB  遠隔操作ソフト
    プランC  ソフトウェアVPN
    プランD  ソフトウェアVPN+遠隔操作ソフト(実PC)
    プランE  ソフトウェアVPN+遠隔操作ソフト(VDI)
     


     

    プランA 『賃貸名人 在宅ワークプラン』

    今回の投稿は『賃貸名人 在宅ワークプラン』のご紹介ではなく、その他のテレワークを実現する方法の紹介が主です。そこで『在宅ワークプラン』の詳細はリンク先の記事をご参考になさってください。

    ●ダンゴセレクト コラム

    ●元記事(開発ブログ)

    ※なお、『賃貸名人 在宅ワークプラン』は「クラウド」ではありませんし「クラウドのようなもの」でもありません。ご注意ください。


     

    さて、今回は主に『賃貸名人 在宅ワークプラン』以外でテレワークを実現するための方法について投稿します。これらの方法は『賃貸名人』に限らず、他社の賃貸管理システム(非クラウド)でも利用できますから、弊社のユーザー様以外も是非ご参考になさってください。


    なお弊社としては、これに関して一切のご費用をいただいておりません。しかしながら反面、お客様ご自身で環境を構築する必要があります。実態としては事務機業者(ゼロックス様とかキヤノン様)に相談なさるケースが多いと思います。

     

    プランB 遠隔操作ソフト

    遠隔操作ソフトとしては、例えば『TeamViewer』が有名です(弊社もお客様サポートに『TeamViewer』を使っています)。『TeamViewer』は有償版なら商用でも利用することができます。不特定多数のパソコンを操作する「遠隔サポート」用のプランではなく、自分のパソコンのみをを操作する「テレワーク用」のプランを選択なさると安価です。
     

    また、『賃貸名人』のユーザー様においても無償の『Google Chrome Remote Desktop』を用いてテレワーク環境を構築なさっているお客様が何社もいらっしゃいます。
     

    『TeamViewer』や『AnyDesk』のような有償ソフトであっても、無償の『Chrome Remote Desktop』であってもネットワークは次のように構成されます。
     


    社内に遠隔操作を受ける無人のパソコンを設置しなければならず、電気代やセキュリティ面が少々気になります。とは言え、社内にある会社用のパソコンをそのまま自宅からの遠隔操作用に併用すれば安価に構築することができます。


    遠隔で画面を見たり操作をしたりするものの、実際の処理(仕事)は会社の中で行われます。そのため後述のソフトウェアVPNよりも処理が高速です。


    もちろん、モバイルルータ等を活用して操作側のノートパソコンを外に持ち出すことも可能です。賃貸管理システムに登録されたデータは個人情報の塊なので、ノートパソコンをどこかに置き忘れると大事故が発生します。事前対策は忘れずに取っておいてください(アカウント認証/緊急時切断手順等)。


    ところで、遠隔操作ソフトは画面表示を転送するためパケット量が大きく、スマホのテザリングで長時間接続したりするとデータ使用量過多で速度制限がかかったりします。ご注意ください。

     


     

    プランC ソフトウェアVPN

    ソフトウェアで通信を暗号化して疑似的な社内ネットワークを構築する方法です。これにより賃貸管理システムをインストールしたパソコンを社外に持ち出しても接続ができるということです。


    社内にいるときは高速に通信が可能ですが、社外からの通信は遅いことがあります。これはプロバイダ契約や地域のネット混雑状況、時間帯にもよります。
     


    メリットは受け用の社内無人パソコンが要らないこと、契約によっては大分安価に始めることが可能ということです。無料のソフトウェアVPNも存在しますがそれは設定が難しいので、安価な『どこでもLAN』のようなサービスを選ぶと無難です。
     

    重ねてソフトウェアVPNで問題になりやすいのが応答速度です。可能であれば事前に体験版でテストをすると良いでしょう。

     


     

    プランD ソフトウェアVPN+遠隔操作ソフト(実PC)

    弊社ではこの方式を用いて在宅ワークを実現しました。これはプランBとプランCを合体した方式です。この方式にすると「セキュリティ」と「動作速度」がプランBとCの良いとこどりになります。弊社の場合は会社で固定IPを取っているので、「プランB ソフトウェアVPN」部分も Windows 標準のVPN機能を用いて接続しています。別途、サービスを導入する必要がありませんでしたのでコスト的にも優れていました。
     


    また、この方式の大きな利点は『Microsoft Remote Desktop』というレスポンスやセキュリティに優れた遠隔ソフトを使用することができるという点です(クライアントOSでは無料)。


    しかしながら、社内に受け用の電源入れっ放しパソコンが社員の人数分存在します。

    たまに誰かの受け用のパソコンが
     ●フリーズしたり
     ●Windowsの更新で再起動がかかったり
     ●あるいは利用者が誤ってシャットダウンしてしまったり
    というようなトラブルが発生します。


    そのようなときは連絡を受けた社内組が該当のパソコンを再起動したり電源を入れたりする必要があります。


    従って社員全員がテレワークをし、社内が無人に近いというような運用には向きません。弊社の場合は在宅ワークだけでなく出社もする従業員もいましたのでこの点は問題になりませんでした。

     


     

    プランE ソフトウェアVPN+遠隔操作ソフト(VDI)

    これはプランDの発展形とも言えます。要はプランDの社内受け用パソコンを仮想化して1台の高性能サーバに集約します。VDI環境は社内サーバではなくレンタルサーバ上で構築することが普通ですが、説明が複雑化するのでここでは社内サーバを例に用います。


    VDIとは Virtual Desktop Infrastructure の略で、仮想化したデスクトップ(パソコンの画面)を提供する仕組みのことです。コロナパニックで在宅ワーク用にVDIを導入する企業が一気に増えたので、以前よく言われていたシンクライアントも今はほぼVDIのことを指して用いられるようになってきたと思います。
    ・・実態はそうだと思いますが、言葉の定義が雑だと識者の方に怒られそうなので、気になる方はお調べになってください。

    さて、VDIの構成を漫画で示してみます。
     


    1台の高性能なサーバの中に社員の全パソコンを仮想化します。従って社員が100人いたらその分サーバのリソースが必要で、そこまでの環境だとまずデータセンターを利用します。ただし、小規模なVDIなら自前で構築することも可能です。Windows環境では『Microsoft Remote Desktop』を用いるのが一般的でしょうか。


    Microsoft社以外だとCitrix社やVMWare社のサービスが高性能で有名ですが、CitrixやVMWareの専門家が関与しないと構築は無理だと思います。


    どちらにしてもまずは既にお取り引きがある事務機業者(大塚商会様とかリコー様)に相談なさることをお勧めします。なお事務機業者様の例を前述と変えたのは意図的です。弊社では「特にどこの業者様がお勧め」というスタンスを取っていません。


    VDIのメリットは、
    ・パソコンが仮想化されているので構築やバックアップが容易
     → 社員の入退社に即座に対応できる
    ・アプリケーションの処理がサーバ内で完結するので高速
    ・サーバ側でクライアントを管理できるのでセキュア
    あたりでしょうか。


    逆にデメリットは、
    ・過剰に高性能な構成にしてしまうと高価
    ・逆に能力が不十分なサーバを入れてしまうとストレスフルな環境ができあがる
    ・サーバをデータセンターに設置したり管理を外部に任せたりするとランニングで費用がかかる
    ・社内パソコンは仮想化できても接続用の端末は要る
    という点でしょうか。


    ただ、物理的なパソコンであっても管理は要るし、物理的なパソコンでもいずれ買換えが発生するので費用はランニングで考えることもできますから、妥当な構成であればそんなにデメリットでも無いと思います。接続用のパソコンではアプリケーションのデータ処理等は行われず高性能である必要もありません。


    もちろん私は事務機屋さんの回し者ではありません。お客様がVDIを導入なさっても弊社の利益になる訳でもありません。
    強いて言えば、VDI環境がもっと普及すればお客様がクラウドの賃貸管理ソフトを選択する動機が減るのですが、そんな回りくどい我田引水を考えているということもありません。


    コロナパニックでVDIが普及し、実際に構築に携わった者から話を聞いたり、また実際にVDIを導入なさった『賃貸名人』をご利用のお客様の環境を見せていただき、「在宅ワークを継続的に行うならば現時点ではこれがベストかな」という感想を持つに至りました。

     


     

     

    Posted By Tanaka