『賃貸名人』はMac(マック)で使えるのか。
Blog
  • 2022/07/05
    『賃貸名人』はMac(マック)で使えるのか。

    「『賃貸名人』はMacで動作するのか?」とお問い合わせをいただくことがあります。もちろんこのお問い合わせをくださるのは他社製ソフトも含めて何らかの賃貸管理システムのご導入をご検討中の方がほとんどだと思います。


    マルチプラットフォームへの対応はブラウザで動作するクラウドアプリケーションに強みがあります。クラウドアプリはOSに依存しないことが"ほとんど"なので、WindowsだろうがMacだろうがAndroidやChrome OSだろうがブラウザさえ動作すれば大丈夫です。


    反面、『賃貸名人』のようなローカル版賃貸管理システムは対応するOSでのみ動作します。次の図は「パソコン」「Windows」『賃貸名人』の関係を抽象的に示したものです。色々と省略されています。



    さて、Macを知らない方は少数だと思いますが、この後の解説に関わりますので簡単に触れておきます。

    Mac(マック)とはApple社が開発や販売を行う「Macintosh」(マッキントッシュ)というコンピュータの商品名の略称です。MacはApple社製の“ハードウェア(機器)”と“Mac OS”という基本ソフトが組み合わさって動作します。今回は『賃貸名人』が動作するWindowsとの互換性についての発信なので、“Mac OS”には触れず“ハードウェア(機器)”部分を軸に解説いたします。


    前置きが長くなりましたが本投稿では「『賃貸名人』はMacで使えるのか?」の問いに回答してみます。しかしながら、本当にMacで『賃貸名人』を動作させることを検討なさっている方からすると、本投稿で紹介する背景や実態は回りくどくお感じになると思います。そのような方は方は是非とも弊社までお問い合わせください。

     

    《目次》


    (1)Macの発売時期とアーキクチャやマルチOS機能

      (実はこの段階で対応可否の結論が出ています。)

    (2)Boot Campで『賃貸名人』は動作するのか。

    (3)仮想OSやエミュレータで『賃貸名人』は動作するのか。

    (4)MシリーズCPU搭載Macの発売で何が変わったのか。

    (5)まとめ


     

    (1)Macの発売時期とアーキクチャやマルチOS機能 

    まずMacは発売時期によってCPUアーキテクチャが異なります。このCPUアーキテクチャの違いによってBoot Campの有無や仮想Windowsの安定性が違ってきます。

      PowerPC
    搭載Mac
    Intel CPU
    搭載Mac
    MシリーズCPU
    搭載Mac
    販売時期 2006年頃まで

    2006年~
    販売開始

    2021年~
    販売開始
    CPU IBM PowerPC Intel x86 Apple Mシリーズ
    Boot Camp × ×
    仮想Windows


    今中古でPowerPC搭載Macを見つけて来たとしても(当時もエミュレータはありましたが)『賃貸名人』がまともに動作するとは思えません。ここで表にPowerPC搭載Mac入れたのはあくまでも参考資料として捉えてください。また、PowerPC搭載Macよりも古いアーキテクチャのMacは本投稿では触れておりません。

     


     

    (2)Boot Campで『賃貸名人』は動作するのか。

    ここ最近まではIntel Macが主流でしたので、弊社では先の問いに対して「Boot Campを使えばMacでも『賃貸名人』が動作する」と回答しておりました。また実際にBoot Campで『賃貸名人』をご運用なさっているユーザー様が複数いらっしゃいます。


    Boot CampはMac OSとWindows OSを切り替えるアプリケーションで、切り替えられた後はIntelアーキテクチャのPC上にWindows OSが搭載されている格好なので、『賃貸名人』側から見たら文句のつけようがなくただのWindows PCであり、これで動作しなかったら不思議というレベルです。登場したばかりのころのBoot Campは不安定だったという情報がありますが今は気にする必要がありません。


    では動作保証できるのかと言えばそれはできません。これはDELLやNEC製の普通のWindows PCに対しても個別の動作保証を行っていませんから取り立ててMacのBoot Campを不安視しているということでもありません。何かあったとき、もちろん解決の努力はしますが、最終的な責任を取りたくないだけなのであまり気になさらないでください。


    Boot Campをご利用になる場合は、別途Windows OSを買ってきてご自身でセットアップなさらないといけません。今ならWindows 11が家電量販店やAmazon等で販売されていますので、それを用いてセットアップ作業を行ってください。Windows 11はEditionによって1.5~2.5万円程度で購入することができます。Amazon等の通販サイトで1万円以下の格安Windowsが常時売られていますが、あれは某外国から発送されてくる海賊版なので買わないでください。

     


     

    (3)仮想OSやエミュレータで『賃貸名人』は動作するのか。

    次に仮想OSについて説明します。最近の仮想OSはレベルが高く、同一アーキテクチャのマシン上で仮想化されたWindows OSでは当然のようにWindowsアプリケーションが動作します。Intel Macならばこの仮想Windowsでも『賃貸名人』を動作させることができますし、実際にご運用なさっているユーザー様もいらっしゃいます。


    例によって動作保証はできず、エミュレーションなので動作有無や安定性はそのエミュレーションソフト次第という不安要素があります。このようにエミュレーションで仮想OSを動作させる場合も、Boot Campと同様にWindows 11を買ってきてセットアップする必要があります。

     


     

    (4)MシリーズCPU搭載Macの発売で何が変わったのか。

    ここで昨年から登場し始めたMシリーズCPU搭載Macについて解説いたします。MシリーズCPUと言っても現在はM1しかありませんが、ちょうど先月にM2チップが発表されたので一応シリーズと表記しています。


    このMシリーズCPUはIntelアーキテクチャではなくArmアーキテクチャ(スマホのCPUの仲間)です。そのため実機にWindows OSを直接インストールすることができるBoot Campは廃止されました


    加えてMシリーズCPU搭載Macでは仮想OSも別アーキテクチャのエミュレーションで動作し、同一アーキテクチャ上で動作する仮想OSより安定性に劣ります。しかも現時点でM1チップはWindows 11に対応していないので、Windows 10をインストールする必要があります。これはM1がTPM2.0に対応していないからWindows 11にも非対応ということです。(非対応ながらエミュレーションで動作するという情報もあります。)
     


    あるいは、ゲストOSにArm版のWindows 11を用います。ARM版のWindows 11ではAMD64のエミュレート精度が上がり旧来のx64Windowsアプリが動作するという情報もあります。実際に試してみればこのように多層的にエミュレートされた環境でも『賃貸名人』は動作するのかも知れません。
     


    ただ弊社ではこのどちらの方式についてもテストを行っていません。


    従って今後主流になるMシリーズCPU搭載Macについて『賃貸名人』は対応していない、と言ってしまった方が無難でしょう。そもそもテストをしていないのでよく分かりません。とは言え「エミュレート」は「代替する」ことを意味しますので、原則的にはエミュレートする側が「対応」するものであって、エミュレートされる側が「対応」を行うというものではありません。代打を出された側のバッターが、代打バッターのバッティングに責任を負わないのと同じです。(野球に例えるのはオッサンの証だそうです。。)

     

    MシリーズCPU搭載Macで『賃貸名人』が動作するとしたら次の2つのどちらかが考えられます。

    ・仮想OSとして(ARM版ではなく通常の)Windows 10が安定的にエミュレートされること。

    ・仮想OSとしてARM版のWindows 11を用い、Windows 11に搭載されたx86及びx64エミュレート性能が秀逸であること。

     

    しかしながら、弊社でMシリーズCPU搭載Macをテストすることは今後も無いと思います。仮に動作したとしても対応を謳う事ができませんからテストをする意味が大してありません。

     


     

    (5)まとめ 

    以上のように、昨年まではIntel MacのBoot Camp機能によって『賃貸名人』のようなWindows版ローカル賃貸管理システムはMacで安定的に動作しました。

     

    しかし今後はMシリーズCPUを搭載したMacが主流になっていくので、今から新しく購入するMacについては『賃貸名人』は動作しないか、動作するとしても別アーキテクチャのエミュレーションなので我々がその安定性を発信することはできなくなります。

     

    弊社に限らずローカルの「賃貸管理システム」は、「アプリケーション(賃貸管理ソフト本体)」「データベースエンジン(SQL)」「フレームワーク(アプリケーションを動作させるエンジン)」「その他外部アプリ」等の複数のコンポーネントで構成されています。MシリーズCPU搭載Macのエミュレータでこの中のどれか一つでもエミュレートできなければ「賃貸管理システム」は動作しないということです。

     


     



    Posted By Tanaka(tanaka@dangonet.co.jp