今から5年前に開発ブログで賃貸管理ソフトのシェアについて投稿しました。
〔開発ブログ〕賃貸管理ソフトのシェア比較
※目下リンクが切れております。
↑の記事の概要は、賃貸管理ソフトはニッチな業界で販社も通さない直販が多いし、どのメーカーも販売実績を正確には公開せず、セールス向けに数字を盛っているからシェアの算出なんて不可能ですよ、というものでした。
これはこの分野における「シェア」という表現を茶化した記事であり、そして5年経った現在においても状況は概ね変わっておりません。理由は上記の通り、賃貸管理システムのシェアを算出することが不可能であり、それを調べようとしても検索エンジンによって各賃貸管理システムのメーカー自身が作成に関わっているステマサイトに誘導されます。(言っちゃった。)
「シェア」の単位は「%」です。しかしどのメーカーも自社の製品がシェア何%なのかを知りません。何しろ自社の正確な販売数を公開していないし、同じように競業も販売数を公開していないのだからシェアを算出できる訳がありません。
しかしながら「賃貸管理システム」というワードで検索を試みると、相変わらずGoogleから検索ワード候補として「賃貸管理システム シェア」が上位にお勧めされます。きっとこのワードで検索する人が多いからでしょう。だから賃貸管理システムのメーカーは「シェア」という表現を使いたがります。(後、特定の企業である"アットホーム"が検索ワードとしてとても強いことがわかります。)

そしてこの「賃貸管理システム シェア」で検索を行うと、たくさんの「有償広告」と「ステマ」がヒットします。2023年1月24日時点で、Googleの検索結果1ページ目にヒットするのは私のブログ投稿以外は全て広告という状態です。
これらステマ広告と肩を並べて私の茶化し記事が上位にヒットするようになった事は、怪しいビジネスマン集団にふざけた格好で紛れ込んでいるようで愉快だと自負します。

一方状況が変わった点もあります。
「賃貸管理ソフト」というワードでGoogle検索を試みたとき、「シェア」という検索候補が表示されなくなりました。そして以前には無かった「買い切り」というキーワードが表示されるようになっています。これはシステム・ソフトウェアがどんどんサブスク化していく現在において、サブスクという支払方法に忌避感を持つ人が一定数いるということの現れでしょう。同時に「賃貸管理システム」よりも「賃貸管理ソフト」の方が買い切り型が多い、つまり古くレガシーな印象を与えるのだと思います。

さて少し脱線しますが、この「賃貸管理ソフト 買い切り」をクリックしてみると・・・
これは酷い。買い切りのソフトではなくサブスクの賃貸管理システムが上位にヒットします。世に言う「SEO」(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、検索する“利用者にとっての最適化”ではなく、検索される“事業者にとっての最適化”になってしまっているようです。
ところで、「シェア」という言葉は間違いのない方向とセットで用いれば嘘になりません。
例:最近の賃貸管理ソフトにおいてはクラウド型の商品がシェアを伸ばしている。
根拠となる数字が示せないとしてもローカル(オンプレミス)型よりも後発のクラウド型がシェアを伸ばしているのは当然であり、言うなれば「固定電話」よりも「携帯電話」がシェアを伸ばしているというようなものです。
クラウド型の賃貸管理ソフトが増えてきた今日、ローカルとクラウドでサービス形態が異なることから、各サービスのシェアを比較することがより困難になりました。仮に自社でクラウド版とローカル版の両方を商品展開している会社であっても、その自社商品どうしですら比較することが難しいのです。
| クラウド型 | ローカル型 | |
|---|---|---|
| ソフトウェア本体 | サブスク(月額) | 買い切り |
| サポート | サブスクに含む |
サブスク(月額) |
ローカル型の販売実績はソフトウェアパッケージの通算出荷本数でカウントすることが普通です。このときサポート契約の加入有無は考慮しません。
一方クラウド型はアクティブなアカウント数をカウントします。過去に発行した解約済みのアカウントは考慮しないことが普通です。
以前の投稿でクラウド型を「カーシェアやレンタカー」、ローカル型を「マイカー+自動車保険(任意保険)」に例えました。レンタカーの貸出し実績とマイカーの販売実績は比較できないということです。

ところで、ローカル型の賃貸管理ソフトはほぼ全てが買い切りですが、マイカーローンのように分割払いで購入することが可能な商品もあります。そうすると支払は月賦になりますから、クラウド型のサブスク(月額利用料)とコスト面で比較されたりします。実際には分割払いの月賦と毎月の利用料では解約時の扱いが異なりますのでこの比較は大分強引です。
最後に、ローカル型のソフトは「買い切り」と言っても、ライセンス使用許諾がありソフトを完全にユーザーの自由にできる訳ではありません。ソフトをコピーして自社商品として再販売したり、ソフトを改造したり、犯罪に利用したりすることは大体禁止されています。詳しくは各ソフトの使用許諾を確認してください。ただ、このあたりは社会的に合意ができていることなので本投稿でこの点をクローズアップする必要はないと思います。
ではなぜこれに触れたのかと言うと、ローカル型ソフトを「マイカー」に例えたせいで誤りを広めてしまうことを避けるためです。マイカーならば完全に自分の物、法律で許される範囲でカスタムすることも可能です。一方、ソフトウェアはそれを使用する権利を購入しておりソフト自体を購入できる訳ではありません。だからどのような改造も禁止されており、転売できないソフトも多くあります。

Posted By Tanaka(tanaka@dangonet.co.jp)