賃貸管理システム『賃貸名人』の名義変更機能 -コンセプト-
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  • 2023/04/04
    賃貸管理システム『賃貸名人』の名義変更機能 -コンセプト-

    いつも曲球ばかり投げておりますから今回は素直に『賃貸名人』の名義変更機能の本質を解説します。なぜ「本質」という表現を用いるかと言うと、ソフトウェアの機能を「仕様」(挙動)から捉えたとき、本来の使い方とは違うところに迷い込んでしまうことが往々にしてあるからです。「仕様」よりも「(設計)思想」に着目することの方がより正しい方法でソフトウェアをご利用いただくためのガイドになります。

     


     

    さて『賃貸名人』における「名義変更」は部屋詳細画面に設置され[更新]ボタンのサブメニューにある↓のことです。
     


    この機能は、賃借人の結婚や離婚によって物件の契約名義が変わることに対応する場合に用います。

    ・もっと分かり易く、結婚や離婚で名字が変わったことを契約履歴に残すことができる機能と言えます。
     

      2022年10月まで   2022年11月から
    契約者 高橋 良子 (名字変更) 山下 良子


    ・また、この機能を応用して法人契約の入居者変更にも活用することができます。
     

      2023年3月まで   2023年4月から
    契約者 株式会社タフガイ   株式会社タフガイ
    入居者 郷田 猛 (入居者変更) 根川 宗生

     

    このようなコンセプトの機能ですから、名義変更によって敷金を旧名義人に返金して新名義人から預かり直すこともなければ、家賃支払状況を新旧名義人で明確に区分することもしません。つまり、同一人物の名前が変わったときに[名義変更]機能を用います。ここで、このような「名義変更」を仮に「ライトな名義変更」と呼称します。
     

    これはもしかしたら他社製の賃貸管理システムとは言葉の定義が違うかも知れません。
    例えば次のようなケースを考えます。


    例:店舗の契約名義を知人に引き継ぐ場合
     

      2023年3月まで   2023年4月から
    契約者 佐藤 彰 (知人に引継) 鈴木 士郎

     

    このときは、当然預かっていた保証金は佐藤様に返却するし、鈴木様からは新たに保証金を預かります。家賃についても3月分までは佐藤様から徴収し、4月分からは鈴木様に請求します。このように別人が契約を引き継ぐようなケースを「ヘビーな名義変更」とすると、『賃貸名人』の名義変更機能は「ヘビーな名義変更」に対応する機能ではありません。


    ではこのような「ヘビーな名義変更」が発生した場合、『賃貸名人』ではどのように処理すれば良いのでしょうか。
    これは簡単です。佐藤様を「解約」処理して、鈴木様を「新規契約」処理してください。これで履歴の残し方もお金の流れもばっちりです。実務実態としてヘビーな名義変更の場合は原状回復工事や新規の募集手続きは発生しませんからそこは単にスキップしてください。

     


     

    最後に、これは社内に向けた発信でもあります。
    よいしょする訳ではありませんが、最近のお客様は傾向として知的でITリテラシーが高く、お問合せ時に「機能の意図」「設計思想」「法的解釈」をお求めになられることが増えてきました。これは「How」ではなく「Why」を聞かれるということですから、当然回答も「First...」ではなく「Because...」から始める必要があります。

     

    今回本投稿を行ったのは、「ヘビーな名義変更」に名義変更機能を用いようとなさっているお客様からのお問合せに対して、『賃貸名人』の名義変更機能のコンセプトをうまくお伝えできていないというシーンを見かけたからです。この齟齬に「How」で対応してはいけません。

    こういうこともありますので弊社のお客様対応部門としてソフトの機能を理由に掘り下げて解釈しておく必要があると考えております。


    また、場合によっては綿密な設計思想に基かない機能だってあります。そんなときは「○○法施行に間に合わせるように即席で実装されたものです。」という風に正直に回答できれば大抵のお客様は納得してくださいます。この最後の一文ははちょっと曲球でしょうか。




    Posted By Tanaka(tanaka@dangonet.co.jp